2020年10月23日金曜日

23、リング

 こんちは人都です。

リング (角川ホラー文庫) 鈴木 光司 https://www.amazon.co.jp/dp/4041880017/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_Q5QKFbA6GYHV3
今日は途中に気分の問題で読むのを止めてしまっていたホラーの名作を読みました。
この本で気分を悪くした、というよりも現実の関係でおどろおどろしいものから距離を置きたくなることが過去にあり、そのため積読タワーの一部となっていた本です。
私はいつもこのブログを書く際にamazonの販売ページのリンクを付けているのですが、なんというか新装された方の表紙を見ると若干目が合って嫌です。
こちらの古いバージョンは全然平気な表紙なんですけれどね…。
ちなみに、私は今まできちんとリングシリーズの映画を見たことが実はなく、強いて見たのも貞子VS伽椰子を薄目で、というレベルなのでそちらのことは一切語りませんし語れません。
そして今後も絶対に見る気はありません。
ホラーの媒体で一番苦手なの実写なんです、怪談とかならいくらでも大丈夫なんですけれど。

週刊誌記者である主人公・浅川は偶然乗り合わせたタクシーの運転手の他愛もない雑談から、九月五日に発生した高校生らの場所を違えた奇妙な同時不審死事件の存在を知りました。
話を聞くところによればその遺体の共通項として何の前触れもなく心臓発作で即死したことや死の直前に頭を掻きむしったかのように髪が抜け落ちていたこと、そしてその顔がいずれも恐怖に歪み目を見開いていたと目撃者や調査資料は語るのです。
退屈でありふれた社会派取材に飽き飽きとしていた彼は、ジャーナル精神からこの不気味で奇妙な偶然に惹かれ好奇心の向くままに同時不審死の被害者の身元と予測される共通項を割り出し始めます。
それらの物証の終点にあったのは高校生集団の旅にいかにもありそうな箱根のホテル、そして客が寄せ書く形式の旅ノートとラベルの無い一本の黒いビデオテープでした。
浅川は取材の一環として問題の一室でその謎のビデオテープを視聴し、この映像がただの恐怖ビデオではないという身を持った気づきと、一週間の余命宣告を得る当事者となるのです。
これは自分一人の力では解決することが出来ないことを悟った浅川は、軽率ながらも幅広い人脈を持つ腐れ縁の危険な男・竜司を合意の下でこの因縁に巻き込みます。
ビデオに残された「あるおまじないを実行しなければ一週間でお前は死ぬ」という呪い。
しかしながら、何者かによって偽装の為にごまかされたその「おまじない」。
彼らはその正体を突き止めるため、定められた運命に抗うためオカルトに対し徹底的な情報収集を始めることとなるのです。

この小説は恐らく商業Jホラーで一、二を争う知名度を持つ恐怖存在「貞子」が初出した作品です。
しかしながら、あまりにもその「白ワンピ、長髪、目力」等の若干そういうジャンルとして概念化しているビジュアルはこの紙面ではほとんど描写されることがありませんし未視聴の私にも分かるほど映像化された印象とは似ても似つきません。
言ってしまうと「来ません」、これ実は「来ません」。
どちらかといえば異常現象に人の技術の全てで迫る、死のリミットに追われたサスペンスや謎解きのミステリーに近いでしょうか。
こういうことを言うのも怒られてしまいそうですが、漠然とした呪いや異常に対して非常に古典的で地味な作業を繰り返しながら迫っていく様子はどこか財団系の作品にも似た妙な存在しないリアリティを思わせます。
もしかして実写映画化された際に映像スタッフの癖が如実に出てああなった部類の作品なのでしょうか……。
これは「貞子というホラーキャラクター」に恐怖することを楽しんだり登場人物の不遇さを笑う作品というよりかは、「山村貞子という数奇な一生」に焦点を当てた情景描写の豊かなドキュメンタリーやルポに近いかもしれません。
本当に全然派手な恐怖はないんです、その代わり常時綿を喉に詰まらせるような感覚に陥ります。
そもそも貞子って死んで変異した霊的存在よりも超能力者に近しいなんて知らなかったし。
いわゆる怖い女が近寄ってくるJホラーな映画通りのイメージを求めると、若干拍子抜けしてしまいそうですが所見の私にとっては非常に質が高いサスペンスとして楽しむことが出来ました。
確かに対象は非日常的で不定形の恐怖を湛えていますが、常人であっても実施に足を使い情報をかき集めることで確かにその輪郭をとらえることが可能なかつて実在した存在です。
ちょうど家に「らせん」も備えていますから、近いうちに読んでしまおうと思います。
意外とグロテスクや性的のシーンもないので、表紙の怖さは抜きに映像のリングがだめでも小説のリングはかなり読みやすいかもしれませんね。
とってもおすすめです。
人都でした。

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2022/2/6

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