2020年10月12日月曜日

12、ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

 こんちは人都です。

今週末は資格試験が控えていて、正直本の新規開拓をしているどころではない感もあるので一週間ほど好きな漫画語りが続きます。
ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 文庫版 コミック 全10巻完結セット (集英社文庫―コミック版) 西 義之 https://www.amazon.co.jp/dp/4086189070/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_AWgHFbCH8N94E
ムヒョロジ、愛してるぞ……。

ある世界には死んだはずの魂や生霊が怨念や未練により生者に危害を加える超法規的犯罪が横行していました。
当然ながら六法では裁きようも、まず捕えようもないその目には見えない超常の事件。
そんな戦慄する他に無い霊的困難を解消するのが社会のアングラに存在するのが魔を裁くための法律「魔法律」です。
いわゆる除霊や霊媒、異能力や魔法のいずれとも触れ合うようでズレたそれは、あくまでこの世に未練を残す魔に対してのみ執行される事前に規定されたいくつもの法から成立する断罪と恩赦の技術であり、日常に住まう人々を守るため深い山奥の一定地域と深い知識と技術を持ち合わせる執行者以外には知る由のない術ととして発展を遂げていました。
この作品の主役となるのはそんな魔法律協会の下で最年少で最高位である執行人となった少年・ムヒョと不可思議な因果にてサポート兼家事担当を行うこととなった最低位仮免の青年・ロージーの凸凹コンビです。
彼らが解決する数々の霊的怪事件そしてムヒョの出自にまつわる因縁は恐ろしく、総本山である「魔法律協会」を中心に奔走する生者と闇から未練の手を伸ばす反逆者との相容れない捻じれ曲がった生温かな執着が交錯してゆくこととなります。

西先生の書く世界が最高なんだよな……何が好きって背景の書き込みと唯一無二の筆跡の癖を感じる重量感がいいんだよ、何度も模写した、文庫版の表紙見てると切なくなってくる。
恐怖表現や忍び寄るクリーチャーデザインもなんていうか他とは全然違うというか、どこからこんな作りを思いついてるのかって思うぐらい独特でおぞましくて時に愛嬌もありながら、確かに只ならぬ存在っていうのを維持してる不安定さが良くて、そもそも分かる言語を話さない奴もいる。
「魔法律」っていうありそうでなかった概念をきっちり作りこんで、ファンタジーの魔法と現実の怨憎混じる怪談と霊を本というキーアイテムで閉じこんでいる世界観も最高で、そもそも資格制なんですよね。
なんなら魔法律はあくまで法律的な中立措置なので、もし執行人が調査を怠って霊の刑を見誤ると自分にその誤判断の反動が来たりするなんて設定まであるんですよね、ただの異能じゃない、時には霊の正当判断を部分的に評価して煉獄に流す法もある。
単なるバトルではなく、加害者と被害者とそこに呼ばれる魔法律家という独特な構図もミステリ好きに刺さるんですよね。
そもそもメインの強いのが青年ではなく三頭身ぐらいの見た感じガキですからね、青年はヒロインと見まがうぐらいそういう立ち回りをして途中まで助手と呼ぶのも憚りますよ。
私はリアルタイム勢ではないのですが、この作品とネウロが同時に連載されてたジャンプはなんらかのバグだったんだと思います。

好きなキャラはロージーです、あとパンジャ。
パンジャ……。
パンジャ………。
なんというか、ムヒョロジの良いところはところはどんな脱落キャラにも感情をしっとり、しっかりと持たせてくることなんですよ。
どれぐらいその作りこみが強いかって、簡単な単発エピソードで執行される霊にもきちんとどうしてそんな凶行に及ぶこととなったのかって理由を週刊少年ジャンプの紙面を割いて描写してくるぐらいなんですよね。
最近の十八禁参入ももうね、切れ味が健在。
一話どころか初回の読み切りの時点からモブのこじれた女女感情で少年ジャンプしようとするんですよ、そんなん刺さるしかないけどまじで西先生はニッチに妖刀を投擲してくるみたいなスタイルが大好きだよ。
ムヒョロジに出てくる九割は本当に優しい、その分一割が本当にどうしようもないレベルの邪悪、地獄、クソ性格、許せねえ。

こんなことを書くとまるで自分が異常ですよって刃物をなめるようですが、どうしても好きな作品は強い個性のあるキャラクターが戦いの末に脱落していくものが多いんですよね。
でもただ死んでいくんじゃなくて、その死にざまや生きざまが誰かに受け継がれていくような感情をがっつり書いてくれる群像劇が大好きです。
あんまりこういう事言うと怒られちゃいそうだけど、鬼滅で鬼の生きざまに内臓を撃たれた人は絶対にムヒョロジが刺さると思うの……。
確かに一巻のあたりはストーリー全体を見渡すと若干絵柄が違うのですが、マジでストーリーと人間模様はずば抜けてると思います。

あああもっと書きたいですが、もうじきパソコンの電源が自動オフするのでこのあたりでおわり!
ムヒョロジを読もうな!!!
パンジャを知ってください。

人都でした。




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